SAKURAさんより、「教えてたねぞう」コーナーよりご質問頂きました。ご本人のご了解を頂きましたので、一般公開させて頂きます。お医者さんのたまご、医学部の方です。
===SAKURAさんより(2004/04/8)===
はじめまして。英語の学習について最近悩みはじめてしまったので、尊敬する(英語学習の先輩として)、たねぞうさんの意見を聞きたいと思いメールさせていただいてます。私は、医師をめざしている大学生です。今年5年生になりました。去年の秋くらいから英語に目覚め、英語を学びなおしていました。私の目標は海外の病院で臨床研修を経験することです。今めざしているのは来年の春に予定されている英国医学校への短期留学の候補者に選ばれることなのですが、そのためには当然語学が堪能でなければなりません。ブリティッシュカウンシルの試験なども受けなければなりません。選考の時期は刻一刻とせまるのに、いっこうに上達しない自分の英語にあせるばかりです。
実はこの春、2週間ほどイギリスの語学学校に通いました。短かったのでたいした成果はなかったかもしれませんが、英語を習得するにあたってリスニング力と語彙力がいかに大切であるかを知りました。(それまで私は、話す力だけが不足してるのだと思っていましたが、聞き取りさえできれば、あとはいくらでもどうにでも話せますよね、実は)。で、ヒアリングマラソン(一日3時間)をはじめようかと悩んでいます。イーオンに通っているのですが、どうも効率が悪いような気がして、ヒアリングマラソンと熟語などは独学で学び、イングリッシュビレッジに通ってディベート(の初歩)みたいなかんじで自分の意見を言う練習をさせてもらいたいな、と思っているのですが、どう思いますか?
●イングリッシュビレッジはどうなんでしょう??
●そして私の考えたこの勉強法はどう思いますか?
ディスカッションのクラスはとても上のほうなことから推測するに、私にはまだフリーで意見を言う練習は早すぎるのでしょうか?教えてください。
===たねぞうの返事(2004/4/12)===
SAKURAさんへ、はじめまして。こんにちは。「教えて!たねぞう」コーナーから、ご質問頂きまして、ありがとうございました。今年、5年生ですか・・・。医学部の5年生でしたら、いろいろな臨床実験などで、とても大変な時期に差し掛かっており、心身ともに疲弊されていることと思います。
今までも、数回ですが、医学関係の学生から、お問い合わせ頂いたことがありますが、彼等/彼女等は、1年生とかだったので、医学の専門が忙しくなる前に、英会話の基礎はしっかり見につけておくようにアドバイスをしたことを思い出します。
余談ですが、毎回医学関係の方からお問い合わせ頂くたびに思い出すことがありまして、だいぶ前にテレビ(確かNHK?)で、アメリカの病院でインターンとして働く女医のドキュメントをやっておりました。ネィティブの医者との打ち合わせの時の(失礼ですが)ちょっとたどたどしい彼女の英会話に思わず ”がんばって” と心の中で声援を送ったものです。現在、ほとんどの医者は英語は問題なく読み書きできるようです。但し、会話となると、?という方も多いというのも事実です。
では、医者にとって英会話がなぜプラスになるのかというところからですが、専門書を読むにあたっては、ほとんどプラスにはならないでしょう。どの分野でも、専門に入り込めば入り込むほど、”判りやすい”単語が多いからです。普通の人にはわかりにくい専門用語が、その分野の人間にとってわかり易いというのは、よくあります。数学の授業をアメリカの大学で受けた時、教授の言っていることがさっぱりわからなくてもホワイトボードに書いてある数式で全て理解できるといえば、わかりやすいですね。但し、読むスピードは格段に速くなります。実際には、専門用語のみを飛ばし読みしていけば、問題は無いのでしょうが、聴く早さで理解できる脳をもつと、読むスピードはそれより遅いわけですから、いちいち悩むことなく、スーッと入ってくるというのは多少得にはなると思ってます。
尚、書くことに関しても、それほど得になるかといえば、疑問ですが、話すことができれば、書くことも同じアウトプットになりますから、プラスにはなるでしょう。これも、専門に入り込めば入り込むほど、要所要所を押さえれば、多少の文法のミスなど、どうでもいいことでしょうけれど。
更に、話がそれてしまいますが、ビジネス系(メディカルも含め)英会話ができるメリットというのは、その現場をはなれてからの情報交換ができるということだと思います。現場では、専門用語など間違いはしないでしょうから、問題なく意思疎通できても、例えば、仕事が終わってから同僚とお酒を飲みながら、例えば、臓器提供などの倫理的な話題について話す機会があったとすると、その中で使われる日常会話ができないと、上辺だけの会話にしかなりません。よく、どの程度英会話能力が必要ですか?という質問に対して、「日常会話レベル」と答えますが、感情を表すことの多い日常会話が一番難しいものだと、私は常々考えています。
やっと、SAKURAさんの質問に入っていこうと思いますが、まず、私自身イングリッシュビレッジの情報を持っていないというのをご了解もらった上で、「イングリッシュビレッジ=一般の英会話スクールでディベート訓練をする」という捉えかたで考えたいと思います。つまり、イングリッシュビレッジ自体のクオリティは、詳しく存じ上げないので、語ることができないので、SAKURAさんが、イングリッシュビレッジで行おうとするディベート訓練について、ワンポイント置こうと思っております。
英会話習得の4技能;
●リスニング
●リーディング
○スピーキング
○ライティング
ですが、勿論、上記をそれぞれ同時並行した方が、習得は早いのは当然というか、リスニングだけやっていても、大人だったら、「たねぞうが断酒する覚悟」と同等の覚悟が無い限り、飽きてきて続きません。上記に付随して、★語彙、文法、(これらも、上記に加えたいくらい大切ですが)も入ってきます。
とはいえ、上記で基本になるのは、はやり、リスニングになると思いますので、SAKURAさんが考えていらっしゃるヒアリングマラソンは一つの手法として正解だと思います。最近のヒアリングマラソンもクオリティが上がって様々な角度から、リスニングの向上を目指すようになっていると思いますが、リスニングにあたっては、ただ、1日3時間聞き流せば良いということではありません。英語は、日本語とは、音の体系が多少?かけ離れている(このあたりの考え方は学者によりいろいろなので省略)ので、大人がリスニングを学ぶにあたり大きく分けて;
1)英語という言語特有のリズム感を養う必要がある。
2)子音単体でも発音できるのだという、日本語との絶対的違いを体で理解する。
3)上記と関連しますが、リエゾンをまず、脳で理解した上で、瞬間的に反応することができる
ようになる。
4)語彙
上記でしょうか?つまり、聞き流しと、精聴の両面から攻めていくと非常に効果的だと思っています。聞き流しでリズムをつかむ。子供だましのようですが、ナーシュリーライム(マザーグース)をオリジナルの速さで聞いて、同時に歌えるようになると、(傍からその練習をみられると、狂ったと思われるかもしれませんが)リズム感は養成されると思います。このあたりは、最近はヒアリングマラソンの講座でも、盛り込まれているかもしれませんね。それと、1分で構いません。たった1分のニュースのディクテーションをやると、リエゾンが頭で理解できると思います。1分ですが、全てを書き取るのに、30分から1時間最初はかかるかもしれません。知らない単語がでてきたら、発音記号(もし、発音記号が書けるなら)で、代替してください。知っているのに、音のつながりで聞こえない部分も発音記号で代替して下さい。そして、実際のスクリプトと見比べて、聞き取れていない部分の音のつながりを発見していきます。この練習では、意味は無視して構わないと思います。だいたい7、8割ぐらい正しく書き取れるようになったら今度は、音は無視して、このニュースは何を伝えようとしているのだろうかと、学ぶ焦点を、移行していけばよいのではと、私はそのようにやった経験があります。
あと、書き取り→チェック→音のつながりの履修→実際のナレーションについてしゃべってみる。聞けるようになってはじめて話せるようになるのも事実であればその音がだせるように(そのリエゾンが自分でもできるように)なってはじめて聞こえるようにいなるというのも事実です。
イングリッシュビレッジでは、アウトプットの場として捉え、自分の考えを伝えるもどかしさをおおいに堪能して下さい。それが、学習意欲への向上や持続へつながると思います。書いていくときりがありませんので、このあたりで、切り上げようと思いますが、逆に、混乱させたかもしれません。すみません。私は、ある時期、常に紙とペンをもって、行動していた頃がありました。自分が言った事、思ったこと、耳に入ったこと、全て、「英語だったら、自分ではどのように言うだろう」と考え、その場で答えがでなかったものを書きとめ、自宅で辞書を引き引き、調べた時もありました。常に、ぶつぶつ口ずさんでいたと思うと、変態に見えますね。おまけにうしろポケットには、焼酎のペットボトルがつっこんでありましたから(笑)。
語彙や、文法は、専門書でやることもOKですが、SAKURAさんの場合は、医学の勉強が忙しいと思いますので、日頃の英会話の勉強で、出くわした表現で、判らないものに限って調べる程度でいいのではないでしょうか?
医学は、日本が進んでいるのか、西洋が進んでいるのか、はたまた漢方か??倫理を全く無視した、西洋の無茶苦茶な臨床実験など、疑問を持つこともありますし、宗教に結びつくような考えの医学療法もあります。情報源を広く持つという観点で、本物の英語力をもつ医者の一人として、将来ご活躍されることを、影ながら、応援しております。
※最後に「影ながら応援」といいながら、誠に恐縮ですが、SAKURAさんのご質問及び、この、つたない回答を「特別投稿」へ公開できたら、いいなぁと思ってます。SAKURAさんの個人情報に係るメールアドレスなどは、一切公開はしません。ただ、ご質問と、ご回答を、他の人にも参考にして頂きたいと思う意図からお願いしてます。もし、ご了解頂けるようでしたら、その旨、ご連絡お願いします。
たねぞう@英会話スクール研究所
===過日、SAKURAさんより下記のご連絡頂きました===
たねぞうさま。大変参考になるご意見ありがとうございました。まだ退院されたばかりでいろいろと大変な時期だろうと思いますが、とても親身にお答えいただいてうれしいかぎりです。とゆうか感激です。
イングリッシュビレッジには見学に行きました。金額も驚くほど安く(2000円/時)、そのわりに先生がNOVAとは比べものにならないくらいちゃんとした人たちだったのでとても好感がもてました。ただ、東京にしかないため、時間の都合上通うことは断念せざるをえなく、現在行っているAEONで続けることにしたところです。
最近は病棟でのカンファレンスも英語で行なう科が増えてきて(けっこう笑えます。いい年した大人のアメリカごっこみたいなものなので)、英語の重要性をますます感じています。学会とかもありますしね。1,2年の頃にもっとまじめにやっておくんだったと後悔していますが、本当に後悔は先に立たないですね。でも、今からでもと思い、私は自分の部屋では英語以外聞かないことに決めました。在日米軍用のラジオだけが私の情報源なため、すっかり情報は遅れていますがこのもどかしさがいつか聞き取り力となって返ってくることを信じて耐えています。ディクテーションもしています。でも、知らない単語は聞き取れませんね、当然ですが。なので、語彙を増やすためにデュオもはじめました。おかげで(?)、本業の医学はかなりおろそかで、教授回診のたびにひやひやしています。両立ってむずかしい・・・。
あ、特別投稿への公開ですがかまいませんよ。
あと、もしも医学部低学年の人から相談を受けるようなことがあれば、
・英語はきちんとやっておくこと
・借金してでも海外旅行などはしておくこと
を忠告してあげてください。
医者に休みはありません。いつどこにいても鳴り響くポケベルの音。いろいろな国に行きたい私は、いまさらながら時間の大切さを思い知らされてます。時は金なりですね。ないながらも、工夫して時間を作って英語がんばります。そしてもちろん、よき医師になれるよう、本業もがんります。ありがとうございました。
===SAKURAさんへ(2004/4/29)===
快くご掲載許可頂いてありがとうございます。同時に、掲載が大幅に遅れすみませんでした。最近、仕事が忙しく、教えてたねぞうコーナーの回答もままならない状況です。SAKURAさんからのお返事もそのまま原文で掲載させて頂きます。私が、お医者さんのたまごの皆さんに英語の重要性を説くよりも、SAKURAさんの原文の方が、彼/彼女たちには響くと思ったからです。しかし、さすが医学部生ともなると、ちがいますね。SAKURAさん曰く「医者に休みはありません。いつどこにいても鳴り響くポケベルの音」、学生時代のたねぞう曰く「酒飲みに休みはありません。どこにいても、内ポケットには白波のペットボトル」。と、これは冗談ですが、SAKURAさん、良いお医者さんになって下さい。最後に、この場を借りてSAKURAさんにお願いがありますが、決して、機械のように全てを論理、理屈で片付けるバカ医者にはならないで下さいね。たねぞうは入院経験から、たくさんのことを学びました。入院中は、医学の知識の豊富な本物の医者よりも、人の気持ちを思いやることのできるおばちゃん看護婦と話していたほうがよっぽど具合がよくなったり・・・。医者たる前に、よき人間であれ!と患者の立場から全国のお医者さんに伝えたかったことでした。(その前に飲みすぎで入院するなよ、バカタレがという声が後ろから聞こえてきますけど)。
たねぞう@英会話スクール研究所
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