ももいちごさんより「教えてたねぞう」コーナーにご質問頂きました。ご本人さんのご了解を快く頂き、一般公開させて頂きます。ももいちごって皆さんごぞんじですか?
===ももいちごさんより(2004/04/16)===
はじめまして!いつも楽しくHPを見ています。すごく見やすいです。さらにたねぞうさんのシビアな例え,くだらない(あ!失礼)質問に対する暖かな回答・・・こんなに応用力,包容力を兼ね備えた方はそうはいません。まさにあたし好みです。
さて本題に移りましょう。あたしはこの春からノバとイーオンの二つのスクールをカケモチで通うことになりました。と言うのは以下の理由からです。
@以前からもう5年くらいノバに通ってはいるが英会話力がアップしたとは思えない。
Aノバでは一度ペースを乱すと気後れして次回予約が取りにくくなる。
Bノバの予約自体が自分の好きなように取れない。
C実は五年以上仕事をしており,教育給付金が受けられる!
D人生に焦りを感じてきた。三十路がすぐそこ。好きな英語をいつまで勉強できるかわからな
いので。「趣味は英会話です。」ではなく「特技は英会 話です。」と言えるほどになりたい。
Dは少し曖昧ですね。今の職場ではこれからも英語が必要となることはないのではっきりした絶対必要な目標はないんです。←ここが問題なのかも?短期lでホームステイした経験もあり,各スクールのカウンセラーも言ってくれる通りきっと自分が思っているよりは能力もあるんだと思います。ノバにはいろんな不満がありますが解約しても半分も戻ってこないという噂なので,だったら消化してやろうと思い、解約はしませんでした。経営方式や教師には疑問を感じますが,ノバの生徒さんは意識の高い人たちが多く,そういう意味ではとても良い刺激を受けています。春から給付金コースで始めたイーオンですが,投稿にもあったかもしれませんがイーオンは絶対に予習が必要です。「曜日が決まっている。」「予習必須」これはノバの自主性をうまく活かせないあたしには継続して勉強するためには欠かせない条件です。そういうわけでカケモチ状態になってます。他の習い事+英会話2軒なので一週間があっ!と言う間に過ぎ去ってしまいます。
これだけ書くとすごくやる気があって毎日勉強して何を悩んでるの?って感じですかね?あたしが悩んでるのは,相手の話すスピードに合わせて返答できないというところにあります。リスニングには自信があるし,聞いた事を英語のままで理解することができる為,同じスピードで笑ったりすることはできますが,ツッコミを入れたりすることができません。前述にもあるとおり,ある程度の能力はあるため,問題を解くとかなりの確率で正解なんです。なのに!脳からアウトプットするまでに時間がかかってしまう。これでは会話の流れを途切れさせてしまいますよね。英会話だって「会話」なのですから。とにかく「ネイティブと話しまくる!慣れる!」とつまるところはそれしかないでしょう。でもこれ以上スクールには通えないし,予習もしてるし。個人的な勉強として,何かターゲットを決め,それをズバリ名前を出さずに回りくどく英語で説明するような練習をしています。この他にあたしの脳内のアウトプットの回路を速くするためには他に有効な方法はないでしょうか?ちなみに公的な英語能力としてはTOEIC 520点 英検2級 です。
===たねぞうの返事(2004/04/22)===
ももいちごさんへ。
こんにちは。英会話スクール研究所(決して芋焼酎研究所ではありません!)のへぼスーパーバイザーたねぞうです。最近、リンクのページアップしました。トップ右下のたこの画像から、とびます。たねぞうの趣味はすさまじくないですか?(笑)
えっ、わたしが、ももいちごさんの好みですって?このようなことを言われると年甲斐もなく、うれしくなってしまいます。男は、本当にシングル細胞で構成されているのでしょうか?
さて、本題に移りましょう。ももいちごさんの現状は:
@トーイック520点、英検2級
Aノバ歴5年 − 効果は実感できていない
Bイーオンと掛け持ちしている
C英語は直接必要としないので、絶対的目標がない
D三十路にあせりを感じている
※イーオンは予習が必要なため、自主性に欠けるももいちごさんへは、今のところかけもち状態になっている。
●悩みは、短期ホームスティもした経験もあり、リスニングには自信もある。でも、相手と同じスピードで突っ込みをいれたりすることができないので、もどかしい。ももいちごさんの言葉を借りると、脳からアウトプットするまでに時間がかかる。
上記で、だいたいよろしいでしょうか?@〜Dのなかで一番の問題はDでしょう。三十路にあせりを感じているのが、脳内シナプス経路の情報遅延を招いている可能性が大・・・なんてうそです。
ところで、Cはももいちごさんにとっては、問題ではないと思います。私は、英語を始めたきっかけも何もありませんでした。強いて上げれば金髪美人と話したいという不純な動機にもならない動機です。仕事は英語ができたからこそ、一時は英語と日本語半分の業種におりましたが、現在では、英語はさっぱり関係ありません。どこかに書いたかもしれませんが、海外エロサイトの入会案内をじっくり読むくらいです。趣味として捉えられる人には、大それた目標は必要ないかも。でも、それだから、あせらないという弊害も生じますけれど、語学は、時間は必要です。あせってガーッとやってあとは無しよりも、継続することが一番だと思います。
さて、2度目の本題に入りましょう。問題点を一言でいうとリスニングはできるが、スピーキングが瞬時に出ないということですね。対策として、
1)リスニングの絶対量を上げる(実は、リスニング量が足らなかったりして・・・)。
2)英英辞典を使う。(現在行っている、ターゲットを決めて英語で説明する練習と共通する効果があります)
3)−−−ここからすこしシビアになりますよ(覚悟あれ)−−−
まず、ももいちごさんの語彙力ですが、トーイックなどのスコアから判断すると一般英会話に問題なくついていけるレベル以下だと思います。語彙が大幅に不足しているのではないでしょうか?確かに、今、流行しているように、「子供にかえって英語脳をつくろう」みたいな論理でも、なるほどOKだと思いますが、私たちは大人です。banana という単語を知らなくて、それを回りくどく説明することができても、banana で済むのであれば、bananaを暗記した方が早いのでは?これは、今、練習している「ターゲットを決めて英語で説明する練習」を否定するものではなく、同時に語彙を増やすことによって相乗効果を生むのではと考えているからです。
以前、どこかのコラムにも書きましたが、理解できる(聞いて、判る)ことをそのまま自分が使えるかというのは「別物」だと思います。どこの国民でも(アマゾン奥地の原住民を除き)、だいたい3万語〜5万語の単語を知っているそうです(1万5千という学者もいたような・・・)。それでも、日常生活で使う単語はたった3千語にすぎません。3千語で、日常生活の90%は成り立っているのです。ここで、注意なのですが、「日常生活で使う」単語は、***ここポイント***「日常生活で(自分が)使うことのできる」単語ということです。要するに、知っているけど使えない単語なのです。日本語でも、同様のことが言えます。ももいちごさんも、古館一郎さんの日本語は理解できますが、彼のように果して喋れるでしょうか??知っている単語 X 0.1 = 自然に使える単語(orフレーズ)と思ったら判りやすいですね。知らない単語、フレーズはもちろん使うことができません。知ることが先です。知っていても使えない単語が、たくさんあるということです。語彙が限定されている中で、頭のなかでもどかしく考えてしまうから、思考回路がショートして、思わず日本語脳がでてきたりします。語彙を増やし、同時に「頭に浮かんだ、伝えたい概念」が手持ちの単語やフレーズでカバーできない場合は、手持ちの単語を組み合わせて処理していくこと、同時に、おおもとが広がらない限り、その中でいくらじたばたしたところで大した変化はありません。語彙を増やすことによって、もっと言いまわしを広げることも可能になります。
get around to -ing (-する余裕/暇がある)
I was totally out of it. (ひどく、酔っていてどうしようもなかったよ)
このような言い方には、難しい単語は含まれておりません。だからといって難しい単語が必要ないかというとそうではありません。大人にとって、またノンネィティブにとって、上記のような表現を使うのは、非常に難しいことです。それよりも、俗に言うビッグワードで代替した方が、早い場合も多いと思います。上記のような表現は、ある程度の語彙を持っていて初めて使うことができるようになる表現だと思います(ノンティティブの大人の今までの日本の英語教育を受けた人にとってという条件付ですが)。
もう一つ、遠回りのようですが、書くことも是非お勧めします。書くことは、文法も絡んでくるので、話すことより、ある意味難しいのですが、(話す場合には、文法はごまかしが効きますから)書くスピードと話すスピードは、話すスピードが当然速いですよね。でも、書くことができずして、話すこともできない。また、文字を知らない人は別にして、話すことができないと書くこともできません。書くこと=ゆっくり話すことと仮定すると、ゆっくり話す=書くこと → 脳にしっかりインプットされていくことにもつながります。→ 次回、そのような局面に出くわした時に、スコッと、言いたい表現が、脳からアウトプットすることができる。
また、上記に書いた「ガーッとやるより、継続が大切である」と矛盾するかもしれませんが、継続のなかにも、「ガーッとやる時期」は必要です。例えば通勤途中に自分の思うこと、隣の人の会話、全て脳内で同時通訳をやってみる練習などいかがでしょうか?即座にでないところはメモっておいて後から調べ適切な表現を身に着ける。中には、「そのような穴埋め方式の練習をしたところで、根本的な解決法にならないんだ、子供はそのようにして母国語を習得していないぞ」と反論される方もいます。が、私は、そのような方には、「では、それに代わる方法を提示できますか?」と聞きます。敢えて提示することが可能だとすると、「英語圏で、日本語を使わずに5年暮らす」ことぐらいです。これが現実的ではないから、皆さんスクールに通うのですよね!
穴埋め方式も、積もれば、掛け算方式で、言いたいことをスパッといえるレパートリーが増えます。一つ覚えたからといっても、それは、以前覚えたレパートリーとなんらかの形で連結され、増幅していくから掛け算方式に増えて行くと思ってます。例えが、変で判りにくいかもしれません。ごめんなさい。以上で、だいたい、お返事に代えたいと思います。かえって混乱させたかも しれませんし、その場合は、ほんの参考程度と思って下さい。いつかは、ももいちごさんが、英語は特技ですと言える日が来るのを、一升瓶の陰から応援しています。
たねぞう@英会話スクール研究所
===過日、ももいちごさんよりお便りを頂きました===
ご回答ありがとうございました。ご指摘というよりも「助けられた!」という感じでした。たいへん長い文面でお答えいただいて,うれしさと感激のあまり泣いてしまいました。そしてもっとたねぞうさんのファンになりました。焦りばかりで(三十路手前だから?)自分自身に対しての評価が出来ていなかったことに気づきました。今のあたしはカラッカラの乾いた雑巾を絞って水を取り出そうとしていたような気がします。わかりにくい表現かもしれません。すいません。
確かに語彙力が足りなければ,言葉のネットワーク(←似たような表現とか,程度とかを使いこなせるという意味)が少ないから思考回路がショートしてしまうんでしょうね。たねぞうさんのお陰で,パッと霧が晴れたような気分です。あたしも単純ですね。(笑)ありがとうございました。やっとビジョンが見えてきました。たねぞうさんのアドバイスを参考にがんばります。
では毎回たねぞう@英会話スクール研究所のアップを楽しみにしています。ではごきげんよう。(*^o^*)
ももいちごでした。
ところで「ももいちご」はご存知ですか?徳島の佐那河内というところで採れるでっかいいちごのことです。その名の通り,桃のようにジューシーで甘い。一粒200円から300円するそうですが、機会があれば是非食べてみてくださいね。
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