今回は文法を扱ってみます。文法、その中でも時制、その中でも現在完了形というと、それだけで吐き気をもよおす人も多いのでは?たねぞうもその気持ちわかります。確か学校では、現在完了形には4つでしたっけ?用法があって、「経験、継続、結果、完了」でしたっけ?あんまりよく覚えていなくてごめんなさい。でも、不思議ですよね。現在完了って。どうも日本人にはなじめない時制だと思います。
ところで、皆さんが日本語を話すときには、敬語は無意識なほど、自然に使えますよね。まさか上司にむかって「やっ、おはよ!」なんていいませんよね。ちゃんと「おはようございます」としっかりご挨拶しますし、「○○されましたか?」とか丁寧にお話するはずです。丁寧語、謙譲語、とか国語で習った記憶がありますが、いちいち頭のなかで考えずに無意識に使い分けているはずです。日本人ですから、日本語は自然にお話できないと困りますからね。
じゃ、英語はどうかというと、「数」・「時制」は常に無意識に意識しているようです(変な日本語ですみません)。「数」とは冠詞とも関連しますが、また、冠詞は別コラムでいつか書こうと思っています。冠詞も、聞いただけで吐き気をもよおす方も多いのでは?
英米人が無意識に意識している「時制」、その中でも現在完了形という日本語にも、あるようなないような不思議な時制ですが、それを、とりあえず学校では、先に書いた4つの用法に分けて教えられました。本当によく判らず、たねぞうも発狂しそうになった思い出があります。
それでっと、現在完了についてよく言われるのは、「過去に起こった出来事が、現在に影響を及ぼしている場合」に使われると、どこその参考書などでは定義されています。ちょっと日本語の説明自体が難しくてよく理解できない人も多いかもしれませんね。確かに、この定義は正しいと思います。でも、せっかくですから、もうちょっと突っ込んでみましょう。
文法は大切です。「時制」の中でも「現在形」と「現在完了」はとくに大切だと思っています。現在完了は、まるでラーメンにふりかける胡椒、うどんにふりかける唐辛子とでも形容すべき、英語表現を非常に豊かにできるものなのです。特に、「会話」においては情感豊かに自分の思いを表現できるものですから、大切なのです。ま、現在完了を単に過去形で代用する場合も会話では慣例としてはありますが・・・。
Have you eaten? を Did you eat? などの例がありますね。
でも、それはそれとして置いといて、なかなか話が進まないので進めましょう。現在完了と使うとどういうニュアンスになるかというと・・・;
●You’ve hit me. と You
hit me.
●I’ve finished my homework. と I
finished my homework.
●I’ve bought a car. と I
bought a car.
●I’ve been to Japan. と I
visited Japan. (この例だけ、I
was to Japanとは書けないのでvisitedにしました。ちなみにbeenはアメリカ英語では「ベン」に近い発音です。ついでにgone は「ガン」と発音する人もいて、びっくりしたことがあります。おっと話がそれそう。
さて、上記の4つはどのように違うのでしょうか?一番目の例では、単に過去形だと、殴ったという事実を伝えています。過去の事実です。ところが、現在完了を使うと、何が変わるかというと、「現在に及ぼす影響」があるわけですから、要するにまだ怒っているわけです。つまり、「だから〜」を言外に補ってみてください。「お前は俺を殴った。(だから、俺は怒っているんだ)のような感じ。現在完了は、過去ではなく、あくまで現在のことです。2番目の例を見てみましょう。子供がお母さんに「宿題はもうおわったよ。」と伝えている状況を想像しましょう。単に過去形では、終わったという事実のみが伝わります。ところが現在完了では、「宿題が終わったという事実が今ここにあるのです」。ですから、この例でも「だから」で補うと「宿題がおわったよ。(だから、今から遊びにいくんだよ、とか、だから今テレビゲームしてるんだよ)とか言外に含まれるのです。みなさん、いかがでしょう。情感豊かな表現法と思いません?3番目の例もお分かりですよね。過去形だと単に車を買ったという事実のみを伝えていて、極端にいうと、もしかしたらその車はもう売っぱらってしまっているかもしれない。でも現在完了だと、「車を買ったという事実が今ここにあるのです」。ですから、「だから」で補うと、車をかったんだよ(だから今は、電車じゃなくて、車で通勤してるんだ)のような、(そこまで具体的ではないにせよ)ニュアンスがあるのです。4番目の例も同じですね。日本を訪れたという事実を今ここにもっているということ、つまり、だから日本についてちょっとは詳しいとか、日本にいたころの懐かしさなど、状況によりますけど、話手から伝わるわけです。たねぞうがなんとなくこのようなニュアンスを感じはじめたり、現在完了は過去形じゃなくあくまで現在と思い始めたのは、こんな表現に出くわしたことがあるからです。
●留学中に受講する講義手続きを完了したとき、担当の先生が;
You are finished.
え?と思ったわけです。なんじゃこりゃ。これって受身なの?何なんだろう。これはfinishedという形容詞だったんですね。それと、こんな過去分詞が形容詞になっちゃったりする例はほかにもgoneがありますね。自分で書いていて、なんですが、ちょっとこのfinishedの例は現在完了のコラムには、こじつけかなとも。たねぞうだから許して下さい!!
He has gone.
He is gone.
両方とも、彼はもう行ってしまった。(彼がいい人だったら、寂しさが伝わりますし、彼が極悪人だったら、安堵感があるのかもしれません)。
ついでに;
Have you done with the paper?
Are you done with the paper?
(ねぇ、その新聞読み終わった?)
こんな例をだすと判りやすいかも。読み終わっていたら、僕に渡してという気持ちがあるでしょ。
もちろん、上記の説明で現在完了をすべて説明できるわけではありません。だって;
Where you been at? (最後にatが入るのはくだけた会話調です)
I been to the bar. (haveは省いちゃってます)
(どこにいってたの?バーにちょっといってきた。)この表現のどこに情感が含まれているのという、突っ込みはなしということで。ネィティブに聞いてください。おしまい。(なんて情けない終わりかたなんだろう・・・トホホ)
>>>>> 追記:うまぞう初登場!!
一番最後の疑問をうまぞうにぶつけてみました。うまぞうっていう外国人のキャラクタがいたって皆さん知ってます?うまぞう曰く:
「それはね、結局、全部現在完了は一緒だよ。だからね、I
have been to the bar.っていうのはバーに行くところから帰ってくるまでの全部を含むんだよ。もちろん「この今」も含むよ。そのバーにいったという事実を強調しているんだよ。わかる??でもね、過去形で言ってもいいかもよ。I
went to the bar.ってね。実際、最近のネィティブは、現在完了の代わりに、過去形使う人増えてるよ。ついでに未来系の変わりに現在形使う人もね。だってめんどくさいでしょ。
要するに、夜10時から11時までバーにいって、そのあとレストランで食事してたとして、夜中1時に帰ったとしても I
have been to the bar.って言っていいのね。これって話者の勝手でしょ。何を強調したいかだからね。かなりいい加減なものなのよ。
I have studied English for 2 years.
I studied English for 2 years.
この2つの文を比べると、現在完了形のほうはね、話者は相手に英語を勉強しているというのをもっと判ってよ!という気持ちが強いのよ」
と、なんというか判ったような判らないようなコメントでした。恐るべしうまぞう・・・。
>>>>> 追記:思い出したので追記
そういえば、書店で英語関係の本を立ち読みしていて、現在完了形を以下のように説明している本があった。例文は、もう忘れましたが、
主語+have(has)+過去分詞という形が現在完了形で、主語は過去分詞の状態を持っている(have)。だから、現在なんだ!!
よく判ったような、よく判らないような強引な説明だなぁ、と思いながら立ち読みしたことを思い出しました。日本語にない時制(もちろん、訳すことはできるので意味論的にはあると思いますが)ですから、たねぞうでもずいぶん苦労しました。学校で習った現在完了の4つの用法(経験、継続、結果、完了)の中の1つ、経験を取り上げてみても、主語がIの場合、「過去に自分に起こったこと=自分の経験」だから、通常の過去形と同じでは??と思い悩んだこともありました。
山本五十六さんのコラムにも書きましたが、やはり体験を重ねることによって、少しづつなんとなくそのニュアンスも判ってくるのでしょう。この追記を書こうと思ったのは、たねぞうの経験を1つ思い出したからです。米国留学中、カフェテリアで食べ物を買って、お金を払ったのにレジのお姉さんから「払って」と請求された時、たねぞうの隣に居たRichardが「He's
paid.」と“s”(ズ)が明らかに耳に残ったのです。その他、どこかに書いた気もしますが「He's passed out.」も、何回も聞きました。そうやって体験を通じ現在完了形を自分も使えるようになったのだと思います。上記の例では、「He
paid.」でもOKでしょうが、“He's paid.”で「彼(たねぞう)は今、現在既に支払った状態にある」と強調したのでしょう。皆さんも、学んで、自分で使って、間違いを恐れず英語習得へがんばりましょう。 |